失われたワイン産地オーヴェルニュ
フランスの丁度真ん中に位置するオーヴェルニュには、元フランス大統領シラクの生まれ故郷であるクレモンフェランの南にブドウ畑が広がり、20世紀初めまでは南仏とボルドーに次ぐ3番目の栽培面積を誇っていました。ところが他の地域より20年以上遅れてやって来たフィロケセラによる被害と第一次世界大戦の影響で、ブドウ造りをやめる農家が増えて行き、ワイン産地として長らく内陸部で取り残された地域となっていました。21世紀初頭フランスではまだまだワインに対する考え方が保守的で、御存知この地のワインはどんなに頑張ってもINAOの法規上、VDQS以上にはなれませんでした。けれどもこの地の可能性を求めてやってきた、新しい造り主はそんなの関係ないさ!と言ってのけ、Table Wineに落としてまで、自分のワイン造りを始め、生産量は少ないですが、ナチュラルワインの産地として多様なスタイルのワインを生み出していいます。
妻と出会い結婚した地でぶどう畑を探した
ヴァンサン・トリコは1972年にロワールのアンジュ地方で生まれました。南仏ニームでワインを11年造っておりましたが、いよいよ独立の時期が到来、選んだ地は数々の縁と偶然が重なるオーヴェルニュ地方でした。奥様のマリーは生まれて6 ヵ月間をクレモンフェランで過ごしたそうです。その後ワイン商を営む両親と共にボージョレに移り住み、ヴァンサンと出会い1999年に結婚しました。その場所はオーヴェルニュの教会、フランスの真ん中で全土から友人達が集まりやすいという理由からでした。そして翌年独立を期して畑を探し始めた頃、マリーの両親がバカンスにこの地方を訪れ偶然聞きつけて来たのが当主が後継者を探していた現在のこの土地だったのです。まさにChance到来でした。
長年無農薬を実践した畑を購入できた
この地で長い間(1971年~)無農薬で畑を守っていたClaudePrugnard氏、そろそろ年齢的理由で引退を決心、子供がワイン造りに興味はなく残念ながら畑を手放なさなければならなくなりました。最後に彼のワイン造りを手伝ったヴァンサンの情熱に惚れ込み、畑とシェ(醸造所)を譲りました。2000 ~ 2002年は金銭的理由で借りておりましたが、2003年に購入、名実ともにオーナーとなり自分のワインを造り始めました。
長年無農薬を実践した畑を購入できた
畑は全部で4.6ha、内訳は3.3haのガメイ、0.7haのシャルドネ、そして何と0.6haのピノノワール。昔この地では沢山のピノノワールが植わっておりましたが、近くのブルゴーニュの関係で泣く泣くブドウの木を抜かなくてはならないほど、経済的ダメージを受けたこの地で、頑なに守られてきたピノノワール。そこに息吹を吹き込むヴァンサン・トリコのワインは世界中が虜になっています。
このワインの特徴は
透明感のある綺麗なガーネット色、フランボワーズやリンゴ、土
の香り、しっかりとしたエキスに果実味、しっとりとタンニンも口中
に拡がり嫌味の全くない綺麗なアフターにはフランボワーズ香が
香ります。
花崗岩、砂質土壌で育つピノノワールを80%除梗し15日間醸し、セ
メントタンクで発酵、アンフォラでマロラクティック発酵・熟成しまし
た。
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