2018年2月某日、スペイン北東部、海に近いエリアのカタルーニャから、
セリェル・マスロッチ・ワイナリーのエウラリア・ロカさんが来店！
小柄でどこかまじめな雰囲気のある彼女、
若くしてソムリエであり輸出マネージャーでもあります。

１９１７年の設立以来、常に新しい知識を仕入れ改革を重ねながら発展し続けるマスロッチ。
現在ではスペイン、プリオラート地方ＤＯモンサンで最も有名なワイナリーの一つとなっています。
マスロッチのワインは世界２０カ国以上に輸出され、ワイン・スペクテイターやデキャンター、
インターナショナル・ワイン・チャレンジ、ギア・ペニン等様々なメディアから高い評価を受けています。

さて、ワイン産地であるエル・マスロッチ村は、人口500人ほどの本当に小さなエリア。
村中知らない人はいないような環境で、そのほとんどがワイン造りに携わっているのだそうです。
そして田舎が抱える問題はどこも同じで、若者の都会流出により過疎化が進んでいるのですが、
近年「こんなに素晴らしい村なんだからもっとみんなで盛り上げよう！」という若者が結束し、
ワインも地域おこしの一環として、品質や味わいを徹底して改革してきました。

今回エウラリアさんは、そんな村のみんなの想いと努力の成果を一身に背負って来日したのだそうです。
「ワイナリーは既に100年以上の長い歴史があるのよ。そしてワイン造りにかかわる人たちはみんな顔見知りだし、
　各家庭が協力し合ってワインを造っているの。みんなのためにもワインの紹介を頑張らなくちゃ。」
その目は真剣そのものです。

ワインについてもお聞きしました。
「私たちが持つ畑は、エリア内に点在しているの。国立公園のそばにあるから環境は本当に素晴らしいのよ。」
「栽培はオーガニックなの？」
「えぇ、そうなんだけど認証はないの。隣接する他の非オーガニックの畑との兼ね合いから認証取得ができないのが残念だわ。」
「そうなのね。ではぶどうにはどんな特徴が？」
「私たちのエリアでは伝統的にカリニャンとグルナッシュが育てられてきたわ。
　特にカリニャンは他の地域と比べて標高が高いから、とてもバランスよく酸が表現されるの。
　このお陰でグルナッシュとブレンドした時にも”ただ重たい”味わいではなく
　”酸によるメリハリ”がきいた素晴らしい味わいになるのよ。食事と合わせる上でもこの事はとても重要でしょう。」
「なるほど。そうすると葡萄の樹も樹齢は高そうね？」
「その通りよ。60年以上のものもたくさんあるわ。」

そして試飲のワインを飲ませてもらって価格を予測したのですが、大幅に下回っていて驚きました！
正直もったいないくらいの価格です。
「そんな樹齢で大切に育てられてきたぶどうからできるワインがこの価格って、安すぎるんじゃない？」
「ありがとう。本当にコストパフォーマンスが良いワインよ。日本の方に気にってもらえるとうれしいわ。」

ボトルのお洒落なラベルも気になります。
「このラベルデザインは、もしかして地層を表しているの？」
「そうなの。複雑に重なった私たちの葡萄ができる土壌をデザインしたのよ。」
実際にこの美しい抽象画のようなラベルのデザインも、世界中で高く評価されているのだそうです。

「日本が大好き！」という彼女。その理由を尋ねると、今度は笑顔を浮かべ
「スペインでもマンガが好きでよく読んでて、特にドラゴンボールの大ファンなの！」と楽しそうに答えてくれました。
「名古屋メシは食べた？」
「えぇ、ここへ来る前に味噌煮込みを食べたわ。とっても美味しかった。日本食はとても美味しくて気に入ってるの。」
「他にも海外をまわったりしていると思うけど、どの国が印象的だったの？」
「もちろん日本よ！全てが美しいし、ずっと憧れていた国。チャンスがあるなら毎年来たいくらいよ。」
「じゃあ、次回はハウディの表のウッドデッキで一緒にBBQをしましょう！」
「いいわね、楽しみにしているわ。」


トロピカルフルーツや白い花、地中海のハーブの香りが立ち昇り、
程よい酸味がさわやかで、ガルナッチャ・ブラン特有のまろやかな味わい。
マカベオはアロマを引き立たせ、ガルナッチャ・ブランで味を引き締め
味の骨格を決めます。活気に満ちたエレガントなワイン。