ワイン好きが高じてNZのワインメーカーに

1973年東京生まれの木村滋久氏。東京のキャピトル東急ホテルに10年間勤務し和食レストラン担当、JSAソムリエ資格所有。ワイン好きが高じて2年間通ったEVIワインスクールが主催するボルドーとシャンパーニュのワイナリーツアーに参加します。その旅がきっかけでワイン造りの仕事に魅了されました。
2003年キャピトル東急ホテルを退社後にニュージーランドのEastern Institute of Technologyにてワイン醸造・ブドウ栽培を一年間学びます。卒業後ホークスベイのNatarawa winesとマルボロのClos Henriにて計一年半葡萄栽培の仕事をします。
2007年の収穫時期から現在世界的に評価の高いヴィラマリア・エステートの醸造チームの社員として一年半勤めます。 2008年の収穫時はヴィラマリア・マールボロ・ワイナリー・赤ワインセラーの現場責任者を務め、深く携わった2007年ヴィンテージのピノノワールは多数のワインコークールにてメダルを受賞しました。

自社畑はオーガニック農法に変換

その後2009年、とうとう自社ブランドの「キムラセラーズ」をニュージーランドの南島に位置するマールボロに設立します。
買い葡萄から始まったワイン造りは運と縁の巡り合わせを経て、とうとう2018年に小さなソーヴィニヨン・ブランの自社畑を持つに至ります。 そこから徐々に人と畑との縁が紡がれ、所有する自社畑は0.7ha（2024年現在）となりました。そこでソーヴィニヨンブラン、シャルドネ、リースリング、ピノノワールなどを栽培しています。
自社畑はオーナー権を引き継いでから、オーガニック農法に変換。一般の農法より手間暇が必要ですが、健康な土を作り上げ、そこで育ったブドウから美味しいワインを造ることにこだわっています。

ラベルデザイン【桜】と【シダ】

ニュージーランド原産のシダの新芽にコル(KORU)というものがあります。 これは「新しい始まり」「成長」「調和」などの象徴と言われ、ニュージーランド航空のロゴやアクセサリーのモチーフとして 使われています。日本の国花である桜の花でシダの巻き紋様を表現する事で「ニュージーランドと日本を繋ぐこと」 そして「キムラセラーズの出発と発展の願い」が込められています。

キムラセラーズのワインで食卓に笑顔を届けたい

「沢山の笑顔が溢れるワインを造ること」が私たちの夢と語る木村さん。その想いは飼っている犬にも担っているそうで、ワンちゃんの名前は笑顔がにこにこの「ニコ」。日々ぶどう畑で元気に走り回っているそうです。

木村さんご来店時の裏話

2024年2月、木村滋久さんが来店くださり、たくさんのお話を聞かせてくださいました。
「大規模畑を持つ生産者が多いマールボロで、自分たちのような小規模でましてやオーガニックを実践しているところはほとんどないんです」
「今所有する畑は0.7haでして、ロマネ・○ンティと同じ面積だけど値段はそれより手頃です笑」 なんてお話しもユーモアたっぷりでした。
実は発酵食品が大好きだそう。車で約1時間のところに住むご友人が米麹を起こしていることもあり、それを使って様々なお料理に活用されているとの事。なんと納豆も自作されるというから相当な発酵マニアですね。

このワインの特徴は

NICOシリーズの名前の由来は、キムラセラーズの愛犬「ニコ」から。 「微笑み(ニコニコ)をもたらしてくれるワインであって欲しい」という木村さんの願いを 込めて、ニコの手形をデザインしたラベルとなっています。

味わいは非常にドライですが、キムラセラーズのワインに共通する「香り」はもちろん引き 継がれており、とても華やかで素晴らしく、自然な造りで安定したワインです。
ブドウは自社畑の有機ブドウを使用し、通常使用する華やかな香りを出す酵母以外に、野生酵母での発酵果汁をブレンドしています。 60%くらいのバッチは古樽を使用して野生酵母で仕込み、残りは通常キュヴェ(ジュース はろ過でクリアにして果実の風味を残したフルーティーなワイン)の低温発酵のステンレ スタンクからNICOに使用するワインを終盤で一部ブレンドしてドライに仕上げました。 例年のソーヴィニョン・ブランは残糖を 3 g /lほど残して発酵を止めますが、N I COは ジュースの全ての糖が発酵が終わるのを待った、よりドライなタイプです。