退屈なタヴェルロゼに再度輝きを

名前だけが有名で、面白みのない存在だった退屈なタヴェル・ロゼを変えたのが「ラングロール」。 自由で自然なワイン造りで圧倒的美味しさをタヴェルから発信し、世界中で人気となりました。 そのラングロールから１本道を挟んだ所に位置するのが「バラジウ・デ・ヴォシェール」です。現当主はクリスチャン、ナディアの仲良し夫婦。 地元農家のクリスチャンと、アルジェリア北部を拠点とするベルベル人でカビル族出身のナディアは結婚後2007年からワイン造りを始めました。 アルジェリアはワイン造りが盛ん。工業的ではなく自然なワイン造りが今も行われています。 農家的で穏やかなクリスチャンが葡萄も含めた畑作業を担当し、いつも元気で積極的なナディアがワイン醸造を担当しています。

ビオディナミ調剤も自作

二人は醸造学校には通わず、自然と身に付いたワイン造りを実践しながらタヴェルに合ったビオディナミを独学で勉強し取り入れています。 ナディアの父親から相続した畑はタヴェルとリラックに合わせて1ha。平均樹齢は90年で7種類の葡萄品種が混植されています。南ローヌの田舎の農園は伝統的にグルナッシュ、サンソー、シラー、ムールヴェードル等を混植していたそうですが、今では非常に珍しくなっています。 ビオディナミ調剤やコンポストも信用できる友人の家畜の糞や野菜、ハーブを使って自分達で造っています。 全ての畑は混植でゴブレ仕立て。通常のゴブレとは異なり、枝は地を這う様に自由に伸ばされているので機械は入れません。
彼ら曰く、「伸びたい方向に伸びるのが理想。生産性の為に強制するのは自然な葡萄樹とは言えない。葡萄樹は自然な状態で最もその個性を発揮する」のだそうです。

ヌフデュパプと似た土壌個性が与える複雑さ

タヴェルの南部は重い粘土質ですが、対して彼等の畑が位置する北部の土壌はシャトーヌッフと似ていてガレ、粘 土石灰質、砂質が複雑に入り組んでいます。色々な土壌と混植された葡萄品種はワインに複雑さを与えてくれるので、単純なだけのロゼにはならず個性が発揮されます。

酸化防止剤も完全無添加を貫く

彼らは醸造中、亜硫酸は一切使用しません。代わりに梗に含まれる酵素と天然のタンニン、そして発酵由来の二酸化炭素を活用して酸化を防止しています。 「果汁段階から酸素を経験することで酸化から強くなる。色調は少し濁るが、酸化に抵抗力を持ったワインが出来上がる」のだそうです。

このワインの特徴は

カリンや蜂蜜、幸せな香りで旨味爆発のロゼです。強めに発泡が残った大人のジュース感覚です。
タヴェルの南、西、北の3つの畑。グルナッシュ・ノワール、ムールヴェードル、カリニャン、サンソー、グルナッシュ、シラー、クレレットの７品種(Sept)が植えてあり、その葡萄をアッサンブラージュしたもの。年により比率は変わります。