アカデミー・デュ・ヴァン創始者に才能を見出された男

南北に広がるボージョレ地区の最南端近くに位置するシャルネイ村に、ドメーヌ・テール・ドレーは醸造所を構えています。当主ジャン・ポール・ブランは、1973年に両親からブドウ畑を引き継ぎ、自らのワインを造り始めました。その後パリのワイン商であり、アカデミー・デュ・ヴァンの創始者でもあるスティーヴン・スパリュア氏にその才能を見出され、世界的に評価される造り手となりました。

ボージョレではなく良質のブルゴーニュワインが信条

彼のワインのスタイルは、80・90年代にもてはやされた フルーティーで軽い口当たりの一般的ボージョレとは異なります。可能な限り収穫量を減らし、良質のブドウのみを収穫。醸造時にはボージョレ特有のマセラシオン・セミ・カルボニック製法を行わず、ブルゴーニュの伝統的醸造法で仕上げます。彼が理想とするのは華やかなボージョレではなく、あくまでも良質のブルゴーニュワインなのです。その為、彼のワインに対する評価は賛否が分かれますが、彼は独自のスタイルでワインを造り続けています。

コート・ドールのグラン・クリュに匹敵する土壌

ドメーヌの周辺地域はPierre Dorees （（＝黄金の石 と呼ばれています 。 村の建物にはこの土地から切り出された褐色の石が使われており、陽があたると村全体が金色に輝く事に由来しています。ドメーヌ・テール・ドレーのブドウ畑の一部もこの地域にあります 。 表土は石灰分を多く含む粘土石灰質土壌 、 20 30 cm 下には鉄分を多く含む赤い岩盤が広がっており 、 ブドウ栽培に適した土壌です 。 この地はシトー派の修道士たちの目にふれる機会に恵まれなかっただけで 、 実はコート・ドールのグラン・クリュに匹敵する程に、ブドウ栽培に適した土地なのです 。

ガメイのみならず、ピノやシャルドネも

ジャン・ポール・ブランは、畑の個性を詳細に把握して、ボージョレの主要品種であるガメイのみならず、ピノ ・ ノワールやシャルドネ等、それぞれのテロワールに最も適した品種を栽培しています。中でも良質のシャルドネから造られる彼の「 ボージョレ ・ ブラン 」 は、比肩するワインが無いと言われる程の最高峰ワインに仕上がっています。また、近年はこの土地におけるルーサンヌの可能性にも着目し、ルーサンヌ100％キュヴェもリリースしています。

自然な手法で栽培醸造し軽薄ではないワインを生み出す

ここでは、ボージョレでは一般的なマセラシオン ・ セミ ・ カルボニック製法を一切行なわず、ブルゴーニュの伝統的な手法を実践しています。「 ガメイはとても繊細な品種 。 石灰質土壌で育つガメイを従来のマセラシオン ・ セミ ・ カルボニック製法で仕上げると軽薄なワインに仕上がってしまう 。 」 とジャン・ポールは述べます。その為、ブドウは100％除梗し、ピジャージュとルモンタージュを施しながら 4 週間以上かけてゆっくりと発酵させます。マロラクティック発酵後は、コンクリートタンク、ステンレスタンク、ブルゴーニュ樽、1000 Ｌ木樽等、各ワインのキャラクターを最大限に引き出す容器を選択し熟成させます。
また各テロワールの個性を前面に出す為に、栽培も醸造もできる限り自然な手法を取り入れています。ブドウ樹の病気対策としては硫黄銅液の散布を行い、除虫剤は使用していません。発酵には天然酵母のみを使用。亜硫酸も最小限に抑えていて、基本的にはマロラクティック発酵後と瓶詰前に極少量しか添加していません。

このワインの特徴は

メトー ・ ド ・ アンセストラル製法によるスパークリングワイン 。 アルコール度数8.5％で、ブドウのほのかな甘味を残しています 。 フレッシュなイチゴを想わせるキュートな果実感が最大の魅力です。
「 FRV100（フランス語で続けて読むとエフェルヴェサン＝ effervescent ＝発泡性の ）」 というネーミングも含め、ジャン ・ ポール氏の遊び心に溢れたワインです。