違いを知らなきゃ飲みごろを間違えるかも!?ヌーボーとプリムール
2021年11月加筆
こんにちは。ハウディWEB担当の吉田です。
さて、ワイン界の秋の風物詩ともいえる「ボジョレー・ヌーボー」。その表記について質問がありました。
「<ボジョレー・ヌーボー>と<ボジョレー・プリムール>は何が違うの?」
今回はこの質問について紐解いていきましょう。
ヌーボーとプリムール。その言葉の意味は?
お答えします。
<ヌーボー>は<新しい>という意味。
<プリムール>は<最初の、一番目の>という意味。
つまりほぼ同じに思えますが…厳密に言うと、異なります。
プリムールとはどんな場合に使うの?
<プリムール>は、日本酒で言う「初呑み切り」のようなものです。
つまり、仕込み終わった最初の段階で、今後2~3年(もしくはそれ以上)の熟成状況を判断する大切な<仕込みたてワイン>のことを指します。
有名なのがフランス・ボルドー地方のボルドー・プリムール。
毎年春頃、世界各国から著名な評論家やソムリエ等がボルドーに訪れ、生産者や関係者から情報を聞き出していきます。どんな天候だったのか、ブドウの出来はどうだったのか、など多くの情報から若い出来立てのワインを判断し、将来的なポテンシャルを見極めていくのです。いわゆるワインの先物買い。これから数年をかけて熟成させていくものなので、一般的には販売しないものなのです。それだけに希少で貴重なものだと言えますね。
そんな<プリムール>という名を冠したボジョレー地区の新酒。その言葉の意味は、フィリップ・パカレ氏(ロマネコンティの醸造長へのオファーを断って、ボジョレーに根を下ろした著名醸造家)の発言が最もわかりやすいでしょう。
「単なるヌーボーを超えた高い品質の新酒であり、解禁日以降であ
このように、基本的にはヌーボー(新酒)であり、その中でも熟成が見込めるものに<プリムール>と名付けているのです。
ヌーボーは熟成しないの?
プリムールと名乗って遜色ないワインだとしても、従来通り<ヌーボー>と冠して出荷する生産者もいます。そのため、<ヌーボー>という名前だから熟成しない、とも言い切れません。ただし、早飲みすることを想定して出荷されるのがボジョレー・ヌーボーですので、美味しさのピークが早いワインが多い事だけは覚えておきましょう。
ヌーボーを長期保管して飲み比べてみた
実は、2014年に面白い実験をしました。当店の常連であるO様が同一生産者の2010~2013年(4年分)のヌーボーを丁寧に保管されていて、「ぜひ一緒に飲み比べをしてみませんか?」と持ってきてくださったのです。
そこで、同じサイズのワイングラスにそれぞれ注ぎ、色、香り、味わい、余韻などを比べてみました。その結果、意外にも2013年よりも2011年のほうが熟成状態がよく美味しかったのです。まさに、ワインの熟成は順番に進むわけではなく、ヴィンテージによって左右される一面を体験する出来事でした。
こうした実験的好奇心として、ヌーボーやプリムールを保管しておくことはとても面白い試みです。飲み頃を逃すとどうなるのか、、もったいないと言えばそうかもしれません。ですが、ワインラバーならばきっと興味深い体験になる事でしょう。
まとめ
ヌーボーとプリムールの違いはお分かりいただけたでしょうか。基本的には、旬のタイミングを逃さず楽しむワインであるボジョレー・ヌーボー。せっかくの秋の風物詩。1年に1度は味を見て、昨年の記憶をたどりながら味わうのも楽しいものですよ。
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wine通信バックナンバーvol.42