知って楽しむワイン雑学:樽の影響力
知って楽しむワイン雑学:樽の影響力
さて、ワインの香りについて考えてみます。ワインには
ブドウ本来が持っている「原料由来の香り」と、原料以
外の「外的要因由来の香り」があります。今回は「外的
要因」のうちの一つ、「樽」について書いてみます。
最近は赤ワインだけでなく、白ワインでも「樽香」の強
いものが好きな方が増えてきました。その理由の一つに
ニューワールドの台頭があります。ニューワールドとは
「カリフォルニア」や「オーストラリア」などヨーロッ
パ以外の産地を指します。その産地のワインが、非常に
バランス良く「樽」を使って熟成させているのです。
樽の香りを表現する用語には、「バニラ」「トースト」
「ナッツ」などがあります。実はこの香り、樽の材質や
産地、新古差で違いがあるのをご存知でしたか?醸造家
たちは、目標とするワインの出来を想定しながら「樽の
材質」や「樽熟成の期間」などを決めるのです。
ワイン熟成に向く材質として、一般的にホワイトオーク
が使われます。日本語だと「楢(なら)」の木ですね。
この材質は、他に比べて「漏れにくい」「湿気を通しに
くい」「硬質だが成形しやすい」「乾燥しても変形しに
くい」などの利点があります。
以下にワイン用に使われる「樽」の産地と、その特徴を
まとめてみました。
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・フレンチオーク
ワイン用の樽の中では一番上質で高価。新樽で10万円!
(樽の価格がワインにも反映される事が想像できる。)
ワインに染み出すタンニンが多く、長期熟成ワインに使
用することが多い。良質な香りや味わいを時間をかけて
育む役割も担う。
・アメリカンオーク
価格は3~5万円ぐらい。フレンチオークに比べて「バニ
ラ」や「ココナッツ」のような甘さを思わせる香りが強
い傾向がある。近年はニューワールド生産者の醸造技術
が格段に向上し、この香りを上手く利用した比較的手頃
なワインも増えている。
・東欧産オーク
ハンガリーや周辺の国でもワイン樽は作られる。フレン
チオークに比べ、技術力は高くはないが、より安価で材
質が似ていることから、使用する生産者も多い。
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また、新樽を使う場合、ブドウ果実自体に力がないと、
樽からにじみ出る成分が強くなりすぎてしまいます。す
ると「樽香ばかりして果実味のない」バランスが悪いワ
インになってしまうこともあるのです。
醸造家たちは、そういった事も踏まえたうえで樽熟成の
必要性を判断します。原料ブドウと樽との相性や、新樽
と古樽で熟成させたもののブレンド比率など、彼らには
ワインの味わいのバランスを整える力量も必要なのです。
もちろん、ワインによっては一切「樽を使わず熟成」さ
せる方がおいしいものもあります。「樽熟成」=「高級」
というわけではないので、ご注意を。
いかがですか?「樽」にはいろんな種類があって、ワイ
ンの個性に影響を与えていることがお分かり頂けたと思
います。ワインによっては使用樽について公表している
生産者もいますので、気にしてみるのも楽しいかもしれ
ませんね。
最後に。
さんざん樽について書きましたが、わたしは
「樽香」が少なくて果実のエキス分がしっかりと表れて
いる滋味深いワインが好きです。好みには個人差があり
ますから。(笑)
ではまた~(^^)/~~~